「新撰組」といえば、一番最初に浮かぶのは、今まで近藤勇、だった。
なんせ局長だし。
土方歳三とか、沖田総司とかは、主要な華やかな脇役、みたいなイメージだった。
でも、この本読むと、「新撰組」を「新撰組」たらしめたというか、プロデュースしたのは、土方歳三だったんだって。
土方歳三って、背がでかくてやたら女にもてた、近藤の幼なじみってくらいしか知識がなかった。
でもこの本読むと、「鬼」としか呼べなくなる。
ものすごい数の死線を、当然のように生き残っていったから。
いつも一番最初に走り出して。
敵に向かって。
1分1秒、毎日「死」を意識しながら、長い間生きてたから。
どんどん人殺しの剣が上達していく。
戦術も実戦でさらに磨きがかかる。
チビ助の時からの根っからの「喧嘩師」。
無愛想で陰険だと、嫌いになる人も多かった。
でも、ハーレクインロマンスのような純粋な恋を大切につらぬくし、一緒に戦った仲間を非常に大切にした。
無愛想な顔して。
最後は「死にたい」と思って死んだ。
その理由というか動機がかわいそうだった。
モノスゴイ武運を持ってるのに、かわいそうに思えるところが、マンガ家・木原敏江が何作も描くところの「鬼」のイメージと重なる。
戒名が3つもあるという。
いろんな場所で人々が彼の死をいたんで弔ったから。
坂本龍馬もそうだけど、この人もこの日本に本当に生きていたのだ。
そう思うと、ほんとうに不思議。
ほんとうにほんとうに、不思議。
(木原敏江は「新撰組」のマンガを描いている。タイトル「天まであがれ!」。今回の小説を読んでるとき、「天まであがれ!」のキャラが違和感なく浮かんできた。さすが木原さんー!すごい調べてキャラ作ってたんやなー、とこれも感動)
「昔の中国の写真」